「世界の軍歌シリーズ」第一弾は、日本の準国歌ともいわれた「海ゆかば」を解説します。
どんな曲?
海ゆかばは、1937年に国民の戦意高揚のため作曲された軍歌です。
歌詞は、万葉集巻十八の大伴家持の長歌「賀陸奥国出金詔書歌」をもとに作られました。
出征兵士を送る歌、戦果発表の冒頭曲などとして使われ、戦時中は盛んに歌われ「準国歌」といわれたほどでした。
歌詞と現代語訳
歌詞は2種類あり、最後の1行が「顧み~」か「長閑には~」かで違います。
海行かば 水漬く屍
山行かば 草生す屍
大君の 辺にこそ死なめ
顧みへりみはせじ(2番:長閑には死なじ)
現代語訳(めっちゃ意訳)
上の歌詞を解説しつつ、めっちゃ意訳していきます。(直訳だとなんとなく分かりづらいし、Wikipediaとかにも乗ってますんで…)
【歌詞】
海行かば 水漬く屍
山行かば 草生す屍
【意訳】
海に行ったならば 水に漬かった屍(死体)になり
山に行ったならば 草の生えた屍になって
【解説】
「行かば」は「未然形+ば(助動詞)」なので「~なら(順接仮定条件)」で訳します。
また「屍」は「死体」という意味ですが、ただの死体ではなく「死体から人としての尊厳を引いた物体」「魂の抜け殻」みたいなニュアンスがあります。
【歌詞】
大君の 辺にこそ死なめ
【意訳】
天皇の お足元で死のう
【解説】
「大君」というのは、天皇のことです。
「こそ死なめ」は、「こそ+已然形」で強調の意味があります。
【歌詞】
顧みへりみはせじ
【意訳】
後ろを振り返ることはしないぞ
【解説】
「せじ」は打消意志で「~しないぞ」という感じになります。
【歌詞】
長閑には死なじ
【意訳】
穏やかな死に方はしないぞ
【解説】
「長閑(のど)」は現代語でいう「のどか・穏やか」の意味です。
考察
ぼくは、この歌詞を見たとき、この国を守りたいという、兵士・武士の心をよく表した歌だと思いました。
自分はどんなむごい死に方を、人としての尊厳がなくなるくらいひどい死に方をしてでも、この国の将来を守りたい、みんなの幸せを守りたい。そのためなら喜んで戦地へ行く、振り返ることはしないぞ、という、不器用でありながらも素直な歌詞です。
「大君」という単語が出てくるので、これは単に天皇をたたえる曲のように捉えられがちかもしれませんが、これが盛んに歌われた大戦当時の日本における主権者は天皇であることを考えると、天皇≒国全体と捉えることもできます。
つまり、「大君」という単語の中に大切な家族・恋人・友人・恩師・自分のふるさとなど、守りたいものが全てひっくるめられているのではないでしょうか?
多くの名もない兵士たちが、この曲に想いをのせながら、戦地へ赴き、命を落としていきました。そのおかげで日本は守られ、今もなお繁栄を続けています。
ぼくたちは、彼らのおかげで、今こうして平和に過ごせているのだと言うことを忘れてはいけません…。先祖への感謝の気持ちを忘れずに生きていきたいですね。
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